多国籍モニターツアーは良いのか

3月、ジャパン・インバウンドはJR四国の依頼で在住の英語圏人、フランス人、台湾人男女のグループを募集し、徳島で「多国籍モニターツアー」に協力しました。かずら橋、ちいおり、大歩危・小歩危、酒蔵などを訪問し、阿波踊りも体験しました。ワークショップで感想をまとめました。

今、2020に向けてこういった多国籍モニターツアーは大変盛んになってきているようです。それはなぜでしょう?

目的は大体2つあります。一つは「インバウントに向けて課題の洗い出しや、様々な国の人の目線で魅力発見」です。もう一つは「SNSやブログを利用し、PRしてもらう」ということです。

日本人から見ると「外国人が見る日本は違うだろうから、国によっても見方が違うだろう」という考え方があると思いますが、本当にそうでしょうか。日本人が当たり前と思う日本の観光資源は在住の外国人にとっては素晴らしく感じます。そしてそれはフランス人であっても、モンゴル人であっても、それほど差はありません。見方の差が一番大きいのは日本人と日本人ではない人です。

また、こういったモニターツアーの参加者は主に留学生か在住外国です。こういった人材は一つ目の目的に必要な「観光」、「ツアー」、「分析」など、この業務に必要なスキルを持っていません。今まで観光をビジネスとして考えたことがない人が大半です。そしてPRスキルもありません。写真を綺麗に取れない人が多く、文章も特に上手ではなく、オーディエンスも持っていませんので、特に魅力のない内容を発信しても、だれかに影響するリーチもありません。

しまなみ海道サイクリングのモニターツアーとビデオ撮影
しまなみ海道サイクリングのモニターツアー

多国籍モニターツアーの参加者を募集すること自体、かなり大変なことですし、費用がかかります。また、上記の理由でリターンは思うほどありません。

逆に日本国内には観光に関する専門的知識のある外国人が各地にいます。また、在住外国人・日本人にも関わらず、観光をキャリアとして考えている若者もいます。観光が専門でない帰国前の留学生に予算をかけるよりも、こういったずっと日本にいる人材をモニターツアー参加者として優先し、人材を育成すれば良いと思います。将来を考えて、他の地域の外国人コンサルタント何人かと地元の日本人学生がチームを組んでみるのはどうでしょうか。互いのキャリアアップにもなります。

と言いながら、在住外国人と来日外国人は既に日本に興味があるため、「モニターツアー」自体の必要性そのものが疑問です。モニターではなく、本格的なツアーを早めに企画する時代ではないでしょうか。